隠された運行系統のすべて(13-16)

 熊本市電の運行系統というと、一般的には2号系統と3号系統が知られています。しかし実際には2号系統には田崎橋行きだけではなく熊本駅前折り返しが存在し、それぞれ2−1号系統と2−2号系統に分けられます。
 ここでは3号系統だけでも健軍町、神水橋、交通局前行きの3種類が存在した1986.11.の資料が手元にありますので、これを元に系統をさらに細分化し、臨時系統も含めて20以上もの運行系統について、知られざる系統名にスポットを当ててみました。

 下の表を御覧下さい。
 一番左端は正式な系統名(ほとんど使われていない)で、その次が運行区間です。ここで注意していただきたいのは交通局前を通る系統については、必ず交通局前が起終点となることです。つまり田崎橋〜健軍町を運行する2号系統は「交通局前→健軍町→田崎橋→交通局前」であるということです。
 次のキロ程は運行距離算出のための往復距離で、これが基本となります。
 表示系統は車両進行方向の系統板表示で、運行区間に合わせて表示されるものです。複数の表記があるものは、行き先によって複数の可能性があるということです。反対側の系統板はよく逆方向のものをそのまま付けていることがあります。
 次が運転系統名です。これが内部で使われているものです。2と3の他に原則として、
    ・系統の終点へ行くものは「特×」と呼ぶ。(特2は3号系統が体育館前で折り返していたときの名残り)
    ・交通局前から出発し、直接交通局前に戻ってくるものは「×廻」と呼ぶ。
    ・その他は両端の頭文字を組み合わせる。
の3パターンがありますが、例外的に「河2」や「交二」などがあります。

 実際に運行する場合は、これを分割して記録することになります。分割の方法は、
    (1)交通局前の下り(健軍町方面)及び亘線で分割。
    (2)(1)で分割したものに該当する系統がない場合は、交通局前上りでも分割する。
という順番で行います。
 例えば、「出庫→田崎橋→神水橋→入庫」と運行した場合は「特8+神廻」となります。これが「出庫→神水橋→田崎橋→入庫」と逆に回れば単に「田神(または神田)」となります。
 もう一つ。「出庫→辛島町→神水橋→入庫」と運行した場合は「辛廻+神廻」、逆に「出庫→神水橋→辛島町→入庫」と回れば「辛神(あるいは神辛)」が存在しないので(2)が適用されて「神廻+辛廻」となります。

 これらの運転系統名は2000.2.現在でも使われているそうです。なかなかおもしろいですね。

1986.11.現在の運行系統
系統 運 行 区 間 キロ程 表 示 系 統 運転系統名 備  考
−1 交通局前→健軍町→田崎橋→交通局前 18.4 2・臨→2→2・臨
−2 交通局前→健軍町→熊本駅前→交通局前 17.4 2・臨→2→2・臨 2(健熊)
−1 交通局前→神水橋→上熊本駅前→交通局前 15.8 3(神)→3→3・臨 3(神上)
−2 交通局前→健軍町→上熊本駅前→交通局前 18.8 3・臨→3→3・臨
−3 交通局前→上熊本駅前→交通局前 9.6 3・臨→3・臨 特4
交通局前→体育館前→交通局前 3.8 臨→臨 特2
交通局前→熊本駅前→交通局前 8.2 2・臨→2・臨 特3
交通局前→健軍町→交通局前 9.2 2・3・臨→臨 特6
交通局前→田崎橋→交通局前 9.2 2・臨→2・臨 特8
交通局前→健軍町→河原町→交通局前 14.6 2・臨→臨→2・臨 河2
交通局前→神水橋→河原町→交通局前 11.6 臨→臨→2・臨 河神
交通局前→河原町→交通局前 5.4 臨→2・臨 河廻
交通局前→神水橋→熊本駅前→交通局前 14.4 臨→2→2・臨 熊神(神熊)
交通局前→神水橋→田崎橋→交通局前 15.4 臨→2→2・臨 田神(神田)
交通局前→神水橋→交通局前 6.2 臨→臨 神廻
交通局前→段山町→交通局前 6.8 臨→3・臨 段廻
交通局前→体育館前→段山町→交通局前 10.6 臨→臨→臨 段体
交通局前→健軍町→二本木口→交通局前 18.0 2・臨→2→2・臨 健二
交通局前→二本木口→交通局前 8.8 2・臨→2・臨 交二
交通局前→体育館前→熊本駅前→交通局前 12.0 臨→2→2・臨 体熊
交通局前→体育館前→田崎橋→交通局前 13.0 臨→2→2・臨 体田
交通局前→体育館前→上熊本駅前→交通局前 13.4 臨→3→3・臨 体上
交通局前→辛島町→交通局前 3.8 臨→2・3・臨 辛廻
辛島町→田崎橋→辛島町 5.4 2→2 火の国まつりで使用
辛島町→上熊本駅前→辛島町 5.8 3→3 火の国まつりで使用
河原町→田崎橋→河原町 3.8 2・臨→2・臨 事故時使用